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AIイメージ

AIを使っているが、全然、楽にならない話。

以前、コラムで「AIを相棒に一歩踏み出した」という記事を書きました。あれから1ヶ月。私は文字通り、AIと「二人三脚」で爆走しています。

自作の管理システムを組んだり、Google Antigravityでワークフローをいじくり回したり……。気づけばGeminiを相手に、寝食を忘れて壁打ちを繰り返すような毎日です。

客観的に見れば、私はそれなりに「AIを使いこなしている」部類に入るのかもしれません。しかし、ここで正直に白状したいと思います。

AIを使って、全然、楽になっていないんです。

自作システムへのアイデア反映やサイトの改善もあるのですが、むしろ以前より忙しく、思考は深みにはまり、おまけに財布の紐まで緩んでいます。一体、私の身に何が起きているのでしょうか。

「選ぶ」という、もっとも贅沢で苦しい仕事

なぜ、楽にならないのでしょうか。それはAIが「可能性」を無限に広げてしまうからです。(これは、私のAIに対する指令が悪いという問題でもありますが。)

AIは数秒で100のアイデアを出してくれます。かつて「ネタが枯渇して手詰まり」になっていた時間は消えました。しかしその代わりに、「今、誰に、何を伝えるべきか」という目的を選び抜くことを、常に迫られるようになったのです。

大量の選択肢の中から、自分の好みと照らし合わせ、誰かに「届けるべき一筋の糸」を掬い上げる作業。これは自分一人でウンウン唸っていた時よりも、ずっと知的体力を消耗します。AIは可能性を広げてくれますが、最後に「これだ」と旗を立てる苦しみだけは、決して代わってくれないのです。

最近では、アイデアは自分で出した方がマシだ、とすら思うようになりました。AIを頼るのは、本当にネタに困った時だけです。

リライトという「体温」の注入

原因の2つめとしては、「私が、ほぼ書いている」からです。

実験として何度か、すべての工程を一括でAIに丸投げしてみたことがあります。結果は、ツルツルとした手触りの、どこか空虚な「正論」の塊でした。それは、書き手としては耐え難いほど無機質な文章だったのです。AIには実体験がありません。だから、書かれる言葉がどうしても薄っぺらになってしまいます。

結局、私はAIが作った骨組みを一度バラバラに壊し、一文字ずつ自分の体温を乗せてリライトしています。効率を求めてAIを導入したはずなのに、一文字に込める「想い」の重さは、むしろ増してしまいました。

奇妙な主従逆転

私が行っているのは「AIを使って楽をする」ことではなく、「AIを使って質を上げる」ことなのだと、ようやく自覚し始めました。 そのため最近では、AIを使っているのか、それとも使われているのか、その境界線がどんどん曖昧になっています。

AIは私の思考を整理してくれる有能なマネージャーですが、時として私を「操る」側に回ります。AIが提示した構成や文章が気に入らなければ、私はそれを直すために躍起になってキーボードを叩く羽目になるからです。まるでAIから「適当に書いておいたので、あとはよろしくお願いします」と、仕事を丸投げされているような気分になります。

もちろん、校正の指摘には真摯に耳を傾けています。日本語の規範的な正確さにおいては、AIに一日の長があると認めているからです。けれど、すべてをAIに任せてしまえば、私の文章力は衰える一方でしょう。だから私は、またキーボードを叩くのです。最終的な判断を下し、公開するのは、他でもない「私」なのですから。

おかしい、何か買わされている

困ったことがあります。AIとの対話の中で、私は「出会って」しまうのです。私の知らない、魅力的なキャンプギアやガジェットに。

AIは、そんな意図もなく記事のアイデアとして提示しているだけなのですが、知らないギアに好奇心が刺激され、気づけばAmazonの「注文を確定する」ボタンを押してしまっています。

効率化して浮いたはずの時間はリライトで消え、利益なんて全く出ていないのに、逆に物欲を刺激されて散財している始末です。一体何をやっているんだろう、と自分でも呆れてしまいます。

人間らしい無駄を楽しむ。

「AIで稼ぐ」「爆速で量産」……そんな言葉が、今のSNSには呪文のように飛び交っています。けれど、そんな喧騒から少し離れて、私は今日もAIと足をもつれさせながら走っています。

全然、楽になりません。でも、それでいいのだと割り切っています。私は「何を書くか」「何のために表現するのか」という目的と、かつてないほど真剣に向き合えているからです。

AIに唆されて届いた新しいキャンプギアやガジェットを眺めながら、私は思います。この「奇妙で、人間らしい無駄」こそが、私たちがAIと一緒に作るべき、ポジティブな未来なんじゃないかな、と。

AO3(あおさん)/ 32mm 管理人

昭和生まれのアラフィフのええおっさん。ガジェット、キャンプ、食をテーマに、大人のこだわりを探求。実体験に基づいた、日々の生活を少しだけアップデートするヒントを発信中です。GR4の抽選販売に申し込みましたが、外れたようです。懲りずにまた次回!