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温泉旅館の売店トラップ!僕らが「謎の木工製品」を買わずにいられない本当の理由

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温泉宿の売店をうろついていると、普段の冷静な自分なら1秒で素通りするような「用途不明な木彫りの物体」に、なぜか抗いがたい魅力を感じて引き寄せられてしまいます。我々男性のDNAに組み込まれたこの謎のプログラムは、いつになったら解明されるのでしょうか。

今回、初めての草津温泉で「こけし」を買って帰ってきた私が気づいた、ひとつの答えを先にお伝えします。それは、お土産とは単なる「物」ではなく、旅先での「非日常のテンション」を真空パックにして自宅へ持ち帰るためのタイムカプセルだということです。

この記事では、草津温泉でのすばらしい体験とともに、かつて修学旅行の定番だった「木刀」の少し寂しい現在地、そして現代に合わせて進化するお土産の魅力についてお話しします。

夏休み開幕ダッシュ! 涼と癒やしを求めて未知の草津へ

連日のうだるような暑さから逃れ、とにかく、ゆっくりのんびりと羽を伸ばしたい。そして、まだ行ったことのない土地で新鮮な空気を吸ってみたいものです。

そんな純粋な旅の動機に加え、私の腹の底には「夏休みに入った直後に、子供との『思い出づくり』という巨大なミッションを完了させてしまおう」という、父親としてのしたたかな企みがありました。そうして選んだ行き先が、日本三名泉の一つ、群馬県の草津温泉です。

初めて訪れた草津は、そんな私の俗っぽい企みすらも優しく包み込んでくれる素晴らしい場所でした。

夕暮れ時、オレンジ色の灯りに照らされたシンボル「湯畑」は圧巻の一言です。ひんやりとした高原の夜風が吹き抜け、エメラルドグリーンのお湯からもうもうと立ち上る白い湯けむりが、柔らかな硫黄の香りを運んできます。夜に浴衣で散策するライトアップされた湯畑の幻想的な姿や、荒々しく温泉が湧き流れる西の河原のダイナミックな風景も、本当に素晴らしいものでした。日常の喧騒が嘘のように遠ざかり、凝り固まった心と体がじんわりとほぐれていくのを感じました。

宿泊先のホテルで出会った、丸くてポップな「卯三郎こけし」

そんな非日常の空気にどっぷりと浸かり、宿泊したホテルの売店をふらりと覗いた時のこと。私の目は、陳列棚の片隅にあったあるアイテムに釘付けになりました。

それが「卯三郎(うさぶろう)こけし」です。

草津温泉の特産品というわけではないのですが、昔ながらの細長いこけしとは違い、コロンとした丸みのあるフォルムがなんとも現代的で愛らしいのです。木の温もりと親しみやすい表情にすっかり心を奪われ、気がつけば私は、そのこけしを大事に抱えてレジに並んでいました。

少年の日の記憶。修学旅行の「木刀」と重なる思い

部屋に戻り、購入したこけしを眺めていると、ふと小学校の修学旅行で買った「木刀」のことを思い出しました。日常を離れた解放感に任せて買ってしまった、あの時の謎のテンションです。

同年代の男性なら、きっとご記憶にあるのではないでしょうか。見知らぬ土地での高揚感の中、土産物屋で燦然と輝く「白虎隊」や「新選組」と彫られた木刀。それを強く握りしめれば、自分も歴史の英雄になれるような気がして、なけなしのお小遣いをはたいて買ったあの甘酸っぱい少年の日の記憶です。

【データが語る】少子化で姿を消しゆく木刀と、進化するこけし

実は今、あの修学旅行の定番だった木刀が、お土産屋さんから静かに姿を消しつつあるのをご存知でしょうか。

製造元に関するデータによれば、木刀の売り上げのピークは約30年前。当時は全国で年間約16万本も生産されていたそうです。しかし、少子化による学級数の減少の波をダイレクトに受け、現在では年間3万6千本ほどと、なんとピーク時の4分の1以下にまで落ち込んでしまっているのです。

一方で、今回私がホテルの売店で購入した卯三郎こけしのように、伝統の根底を守りながらも、現代のライフスタイルやポップカルチャーに合わせてしなやかに形を変え、生き残っている木工製品もあります。時代の波に飲まれていくものと、新しくアップデートされていくもの。華やかなお土産屋さんの一角にも、そんな静かなドラマが隠されているのですね。

結局のところ、「お土産」の本当の価値とは何なのか

手にするものは、勇ましい木刀から丸くて穏やかなこけしへとすっかり変わりました。しかし、旅先で木にまつわるアイテムを欲しがる根本的な心理は、あの小学生の修学旅行の日から何も変わっていません。

あとになって調べてみると「卯三郎こけし」、Amazonなどのオンラインショップでも手軽に買えることがわかりました。スマートフォンの画面をワンクリックすれば、翌日には自宅に届く便利な時代です。

それでも、私たち家族にとっては、やはり「あの草津のホテルで買った」という事実が何よりも重要でした。私たちが欲しかったのは「こけしという物体」そのものではなく、草津で過ごした最高に楽しい時間を、日常に持ち帰るための依り代(よりしろ)だったからです。

自宅のリビングにちょこんと置かれたこけしを見るたびに、「草津の涼しい風、気持ちよかったね」「これで今年の夏の思い出作りはバッチリだね」と家族で笑い合うことができます。お土産を買うという行為は、あの日の熱量と笑顔を未来の自分たちへ贈るための、とても素敵なタイムカプセルなのです。

……なんて、要するに旅先のテンションに任せた「無駄遣いの壮大な言い訳」なんですけどね。

皆様も次にどこかへ旅行に出かけた際は、ご自身の心に眠る少年のテンションを呼び覚ますような、とっておきのアイテムを探してみてください。我が家のリビングでは今日から、この愛らしい卯三郎こけしが、草津の思い出とともに私たちを和ませてくれています。

AO3(あおさん)/ 32mm 管理人

昭和生まれのアラフィフのええおっさん。ガジェット、キャンプ、食をテーマに、大人のこだわりを探求。実体験に基づいた、日々の生活を少しだけアップデートするヒントを発信中です。GR4の抽選販売に申し込みましたが、外れたようです。懲りずにまた次回!